編集部体験記|2026年10月乗車
岩国から錦町まで、錦川に沿って走る錦川清流線。
今回は特に予定を決めず、景色を眺めて、町を歩いて、川辺でのんびり過ごしてみました。
気がつけば、スマホはかばんに入れたまま。そんな1日の記録です。
岩国駅9時53分発、錦町行きに乗って
岩国駅から、9時53分発の錦町駅行きに乗りました。
列車が岩国駅を離れるにつれて、窓の外には山や田畑が増えていきます。しばらくすると錦川が見えはじめ、列車は川に寄り添うように山あいへと進んでいきました。

ゆっくりと流れていく景色をぼんやり眺めていると、川には鮎釣りをする人の姿も見えました。
釣りをする人を眺めながら、列車はさらに山の奥へ進んでいきます。

速度を落として見せてくれる滝
途中、車内に滝の案内が流れます。
「今は水が少ないです」という案内とともに、列車がゆっくりと速度を落としてくれました。
この日は水が少なく、正直なところ「滝……かな?」と目を凝らすほど。
それでも、滝の前でわざわざ速度を落としてくれるところに、錦川清流線らしい優しさを感じました。
乗客数人が窓の外へカメラを向けます。鉄道ファンのみなさんに交ざって、私もシャッターを切りました。
写真の出来はさておき、乗っている人たちが車内の放送に合わせて同じ方向を見ていることが、大人の遠足にきたような気分になります。

トンネルの先へ向かうワクワク感
途中の北河内駅では、別の列車とすれ違う場面もありました。
ホームに並ぶ列車を撮ろうとすると、車掌さんが「1分停車するので、降りていいですよ」と案内をしてくれました。
早速写真を撮りにホームへ降りました。乗客の方達と写真を撮ることすらわくわく楽しい時間です。

列車は、その先でいくつものトンネルへ。トンネルに入るたびに、
「いったい、どこの山奥へ向かっているのだろう」と、ワクワクしてきます。
トンネルを抜けると、また錦川と山の景色。川面近くに架かる沈下橋も、車窓から見えます。
沈下橋は、川が増水したときに水の下へ沈むよう、欄干を設けずにつくられた橋です。
それでも過去には流されたことがあるとの車内放送を聞き、プッと吹き出してしまいました。それと同時に穏やかに見える錦川にも、大きな自然の力があることを感じました。

トンネルを抜けると、錦町
最後のトンネルを抜けると、終点の錦町が近づいてきます。
錦町駅に着くと、横断幕を持ち笑顔で迎える人たちの姿がありました。
初めて降りた駅なのに、温かく迎えてもらったような気持ちになりこちらも笑顔になります。


Cafe World広瀬でオムライスを
錦町に着いて、まずはCafe World広瀬へ。
いただいたのは、オムライスです。店主の和田さんとお話ししながら、ゆっくりランチを楽しみました。
お店のことや和田さんのお話は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

錦町の町を、気ままに歩く
ランチのあとは、行き先を細かく決めずに錦町を歩きました。
途中のお店で、岩国の名物がんね栗を使った「岩国マロンマドレーヌ」と「オオサンショウウオクッキー」を買いました。
そういえば列車からも栗の木がたくさん見えました。


それを持って川へ向かい、川辺に座ってひと休み。川には鯉が泳いでいる所があり、丸々太った鯉と清流を眺めながらホッと一息。
目の前にあるのは、川と山。そして、川の中で鮎を釣る人の姿です。
しばらく眺めていると、鮎釣りをしていた方が「見とってもまだ釣れんよ〜〜」と笑いながら声をかけてくれました。

日が暮れていく錦川とともに帰る
夕方、錦町駅に戻りました。
列車を待つあいだ、待合室でほかの乗客の方と少しおしゃべりをしました。
帰りの列車が走り出すころ、錦川には少しずつ夕方の色が広がっていきます。昼間とは違う、静かな川の景色です。
清流新岩国駅では、行きも同じ列車に乗っていた方とお別れしました。
列車が見えなくなるまで、ホームから手を振ってくれました。
「ああ、旅っていいな」
と、素直に思った瞬間です。
列車の中で、ふと気づきました。
「今日は、スマホをずっとかばんにしまったままだったな」
普段は移動中もスマホばかりを見ています。
けれど、この日は、川を眺めて、人と話して、町を歩いて、お菓子を食べて、錦町でのんびり過ごす時間と、まわりの景色や人だけを感じていました。帰りは物思いにふけってしまい、写真を撮り忘れました。それくらいこの景色とこの気持ちに浸っていたかったのでしょう。

イヤホンも、かばんの中に
この日、もう一つ気づいたことがあります。
列車に乗っているあいだ、イヤホンもずっとかばんの中でした。
都会で暮らしていると、家を出るとすぐにイヤホンをつけるのが習慣です。イヤホンを選ぶときも、音質よりノイズキャンセリングの性能を重視するほど、まわりの音を消すことに慣れていました。
けれど、錦川清流線では、どの音もそのまま聞いていたいと思えました。
ゆっくりと響くディーゼルエンジンの音。車内に流れる沿線案内。鉄道ファンがカメラのシャッターを切る音。乗り合わせた子どもたちの、何でもない会話。
錦町で列車を降りれば、町を流れる川の音や、季節を感じる山の音が聞こえてきます。
この日は、自然の音が一番のリラックスでした。

ぼーっと過ごす、ぜいたくな1日
錦町にあるのは、川と山と、そこで暮らす人たちの日常です。
錦川清流線の車窓を眺めて、町を歩いて、川辺に座る。地元の人と言葉を交わし、日が暮れていく川を眺めながら帰る。
特別なことは何もしていないのに、帰るころには不思議と満足していました。
ただ景色を見て、ぼんやりして、のんびり帰る。
そんな時間を過ごしていると、
「ああ、だから日本っていいよね」
と、胸の奥が、じんわり温かい気持ちになります。「エモい」とはきっとこういう気持ちなのかもしれません。
忙しい毎日から少し離れて、ぼーっと過ごす時間がほしくなったら。
錦川清流線に乗って、錦町へ出かけてみてください。

今回編集部が使った、お得なきっぷ
「錦川清流線tabiwaお得往復きっぷ」なら、川西駅〜錦町駅の往復が1,600円。ふつうに買うより360円お得です。
錦川清流線tabiwaお得往復きっぷ
- 大人1,600円、小人800円(通常1,960円)
- 利用日1日限り。アプリ「tabiwa by WESTER」で購入(クレジットカードのみ)
- 岩国駅〜川西駅の運賃は別に必要です
