錦川清流線山口県岩国市
清流線に乗る
錦川清流線山口県岩国市
清流線に乗る

「清流線」なのに、清流が見えるのはたった5分!? 約70分の車窓で見たものは!?

清流を見に来たはずが、新幹線、酒蔵、どこでもドアにヤギ!? 木々の隙間から清流を探す、ちょっと変わった70分の列車旅。

山口県岩国市を走る「錦川清流線」。

名前に「清流」とついているくらいですから、さぞかし美しい川を眺めながら走る列車なのでしょう。岩国駅から終点の錦町駅まで、乗車時間は約70分。

錦川の美しい景色を写真に収めようと、カメラを片手に乗り込んだ編集部。

さて、どんな景色が待っているのでしょうか。

岩国駅 
錦川清流線 車内

川西駅から、いよいよ清流の旅が始まります!

岩国駅を出発し、西岩国駅を過ぎると、川西駅に到着します。

川西駅は、作家・宇野千代さんの生家や、日本三名橋のひとつ「錦帯橋」へもアクセスできる駅です。

ここで降りるお客さんもちらほら。実は、錦川清流線の起点は、この川西駅。岩国駅から川西駅までは、JR岩徳線と同じ線路を走ってきました。

つまり、ここまでは序章です。

さあ、ここからが清流の旅!

編集部の期待も高まります。

錦川鉄道 川西駅 ここからが清流線の始まりです

おっ! 新幹線の基地。そして岩国の日本酒!

川西駅を出発すると、少しずつ街並みが変わり、山が近づいてきます。

そろそろ清流が見えてくるのでしょうか。

窓の外を眺めていると、立派な鉄道施設が現れました。

現れたのはJR西日本の「新岩国保守基地」。新幹線の線路などを保守するための車両が集まる施設です。

おお! 新幹線を陰で支える車両たちが、こんなところに!

普段は見る機会の少ない鉄道施設。これはこれで面白い。

さらに目に入ってきたのは、日本酒「金冠黒松」で知られる村重酒造の建物です。

おお! さすが日本酒のまち、岩国!
村重酒造のお酒は、秋の利き酒列車でも飲み比べできます。

おいしい日本酒といえば、やはり水も大切です。

綺麗な水に恵まれた土地なのだろうと、これから出会う錦川への期待がますます膨らみます。

そろそろ清流か!? と思ったら……なんじゃこりゃ!

しかし、肝心の清流は、まだおあずけです。

列車は次第に山の中へ。

錦川清流線 どんどん山に入っているのがわかります

そろそろかな。

もうすぐかな。

期待を膨らませながら窓の外を眺めていると、今度は何か大きな機械が見えてきました。

おおっ!

……なんじゃこりゃ!?

採石場でしょうか。

お仕事の裏側が見えたようで、わくわくします。しかし、探しているのは清流です。

清流線から見えるお仕事の裏側?!

北河内駅に到着。田んぼの中に、まさかのピンクのドア!?

さらに進むと、列車は北河内駅へ。

ここは錦川清流線で唯一、上りと下りの列車が行き違う駅です。タイミングが合えば、2本の列車がホームに並ぶ姿も見られます。

周囲には田畑が広がり、山々に囲まれたのどかな風景。

ああ、田舎の景色はいいなぁ。

そんなことを思っていると……。

ん?

なんだ、あれ?

田畑の中に、ピンク色のものが。

どこでもドア!?

のどかな風景の中に、あのピンク色のドアがちょこんと立っています。

しかも、その近くには……。

ヤギ。

……ヤギ?

本当にヤギがいます。

清流を見に来たはずなのに、今度はどこでもドアとヤギです。

ちなみに、このピンクのドアは地域の方々が設置したもの。近くのヤギたちは、草刈りのお仕事をしているそうです。

列車に乗ったまま、こんな景色が見られるとは。

ここまでで見たのは、新幹線の施設、酒蔵、採石場らしき大きな機械、どこでもドア、そしてヤギ。

清流は、まだです。

北河内駅 どこでもドア ヤギはもっと左にいます
北河内駅は交換駅なので他の車両も見える

おっ、川が見えた! ……と思ったら、また木

北河内駅を過ぎると、列車はいよいよ錦川に沿って山の中を走ります。

さあ、今度こそ!

窓の外を眺めると、一面の緑。

木。

また木。

ときどき竹。

あれ? 川は?

錦川に沿って走っているはずなのですが、木々が、しっかり川を隠しています。

それでも、窓の外をじっと見つめていると……。

おっ! 川だ!

木々の隙間から、ようやく錦川が見えました。

透き通った緑色の水面が、なんとも美しい!

慌ててカメラを構えた瞬間、

また木。

今度こそ! と待ち構えていると、

竹。

なかなか手ごわい。

あんなにきれいな川なのだから、もう少しゆっくり見せてほしいのですが、次から次へと木々が現れます。

清流・・・いや 木・・
せいりゅ・・・木・の間に・・

やっと見えた清流が、こんなにありがたいなんて

最初は、清流なんてずっと見られるものだと思っていました。

ところが、ここまでおあずけが続くと、気持ちが変わってきます。

木々の隙間からほんの少し水面が見えるだけで、

おおーっ! 川だ!

あんなに当たり前に見られると思っていた清流が、妙にありがたい。

ほんの数秒のシャッターチャンスも、なんとしても、ものにしたいところです。

もう一度見たい。

今度こそ写真に収めたい。

気がつけば、木々の隙間から現れる清流を、ひたすら探し続けていました。

清流線に乗って、清流のありがたさを実感することになるとは。

錦川清流線 5分しかみれない貴重な清流(笑)

シャッターチャンス到来! 控えめな滝を探せ

そんな中、車内に滝を知らせるアナウンスが流れます。

滝!

これは要チェック!

ここぞとばかりにカメラを持ち直し、窓の外に集中します。

どこだ?

どこだ?

あっ、あれか!

山の斜面に、控えめに流れる水の姿が。

想像していた豪快な滝とは、ちょっと違いました。

でも、確かに滝です。事前に編集部内で共有していた「多分西日本一控えめな滝」です。

せっかくなので写真を撮ろうとカメラを向けたところで、列車は先へ。

あっ、待って!

もう通り過ぎてしまいました。そうしている間に反対側の車窓には綺麗な清流が流れています。

この滝に気持ちを持って行かれると、貴重な清流が見れる5分を失っていまうのです。

錦川清流線には、北河内駅から椋野駅の間に「清流の滝」、その先の椋野駅から南桑駅の間に「かじかの滝」という見どころがあります。

清流の滝は、高さ25mの五段滝。

高さ25mと聞くとかなり立派ですが、車窓からその姿をじっくり眺めるには、なかなかの集中力が必要です。

列車によっては、車窓の見どころで速度を落として走る「観光徐行」も行われています。

それでも、シャッターチャンスはあっという間。滝を撮るか、清流を撮るか……。滝は撮り損ねましたが、清流はなんとか撮影できました。

錦川清流線 10月曇りの日の車窓

木の次はトンネル。約6.2kmのトンネルサウンドをお楽しみください

清流を遮るのは、木や竹のほかにもあります。

岩国市の資料によると、川西駅から錦町駅までの間に、なんと27か所のトンネルがあります。

その総延長は6,187m。約6.2km!

27か所を合わせた長さです。

列車がトンネルに入ると、窓の外は真っ暗。

ゴォォォォーッ!

車内には、エンジン音と走行音が響きます。

川が隠れている間は、トンネル内に響きわたるディーゼルエンジン音を楽しみましょう。静寂の山の中に響くディーゼルエンジンの音は、まるでライブ会場の重低音。体の奥までずしんと響きます。

トンネルの中で響く列車の音は、外を走っているときとはまた格別です。編集部もそのサウンドに魅了されてしまいました。

そして、ようやくトンネルを抜けると鉄道のサウンドも変わったように感じます。これも鉄道の楽しみ方の一つですね。

それでも、錦川はやっぱり美しい

ここまで、木だの竹だの、川が隠れる話ばかりしてきましたが、これだけはお伝えしたい。

錦川は、本当に美しい川です。

木々が途切れた瞬間に現れる、透き通った緑色の水面。

川が大きく曲がり、山々に囲まれた景色が広がる場所もあります。

そんな景色が突然現れると、思わず声が出てしまいます。

「日本っていいところだよな〜〜。だから地方って素敵なんだよな〜〜。」と感傷にひたり、気がつけば、窓の外にくぎづけになっていました。

それが鉄道旅のいいところでしょう。

ところで、70分のうち清流は何分見えるのでしょう?

岩国駅から錦町駅まで約70分。

いったい何分くらい、錦川が見えていたのでしょうか。

体感では、ずいぶん短く感じました。

錦川鉄道の社員さんに聞くと、「川がしっかり見えるのは5分ほど」とのこと。

やっぱり5分!

でも、木の隙間からちらりと見えた数秒も数えるべきでしょうか。

ここは一度、ストップウォッチを持って乗車する必要がありそうです(笑)。

ちなみに、今回乗車したのは木々の葉が茂る10月。

葉っぱの落ちる冬になれば、見える景色も変わるのでしょうか。

そうなると、夏と冬の両方で計測しなければなりません。

これはなかなか忙しい調査になりそうです。

終点・錦町に到着。結局、何を見に来たんだっけ?

清流を眺めようと、カメラを片手に乗り込んだ錦川清流線。

新幹線の施設を見て、日本酒の酒蔵を見て、採石場らしき大きな機械を見て、どこでもドアとヤギを見つけ、木々の隙間から清流を探し、滝を撮り損ね、トンネルの音を楽しみました。

清流をのんびり眺めるつもりが、他のものを眺めていた気がしますがそこはさておき、気づけば終点の錦町駅です。これはこれでとても楽しかった編集部。

ありのままの自然を、70分たっぷり堪能しました。

さて、肝心の清流ですが、本当に5分しか見えないのでしょうか。次回はストップウォッチを持って乗車してみたいと思います。

みなさんも、ぜひ数えてみてください(笑)。

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