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岩国のレトロ自販機|川西駅から歩いて行ける「仲良くしてネ」の看板を訪ねて

列車の待ち時間で食べられる、貴重なレトロ自販機の麺

絶滅の危機にある、昭和のうどん・ラーメン自販機。そのレトロ自販機が川西駅の近くで今も動いていると聞いて、編集部も行ってきました。

宇野千代生家から歩いて約10分。車の行き交う山口県道15号沿いに、「そば」「うどん」「ラーメン」のぼりが立っています。お店があるのかと思いきや、ずらりと並んでいたのは昭和の香りがするレトロ自販機でした。

「仲良くしてネ」は、暴走族へのお願いだった

自販機コーナーの看板には、「仲良くしてネ」と書かれています。初めて見たときは、自販機のほうから仲良くしてくれるのかと、思わず「こちらこそ」と返したくなりました。

オーナーの中村さんに伺うと、看板を掲げたのは先代のオーナーだそうです。そのころ、この自販機コーナーには暴走族が集まり、頻繁に喧嘩をしていました。それを止めるためのお願いが、「仲良くしてネ」だったのです。

今はその看板が、うどんをすする人たちをのんびり見守っています。

川西駅徒歩10分 レトロ自販機 「仲良くしてネ!」は暴走族へのお願いだった。

24時間、できたてに近い一杯の秘密

自販機の中には、めんと具をのせた器が冷蔵された状態で並んでいます。お金を入れると、器にお湯が注がれ、湯切りをして、最後にスープが注がれます。できあがった一杯は、取り出し口にすっと出てきます。ここまで、わずか25秒ほどです。

この器は、お店の調理場で作ったものを補充しています。その回数は1日7回です。

しかも、一度に入れるのは4分の1ほど。たくさん入れておくと、時間が経過して麺が固くなるからです。いつ来た人にも、おいしい状態で食べてほしい。そのために、少しずつこまめに中村さんが補充されています。

自販機の中は冷蔵庫になっていて、扉を開けると温度が大きく変わります。そのため補充のときも、扉は半分だけ開けるそうです。


24時間いつ買ってもできたてに近い一杯が出てくる。その裏には、こんな手間がありました。

レトロ自販機 25秒で暖かいうどんができあがる

人気1位の肉うどん。出てきたのは、きつねうどん?

取り出し口のふたを開けると、見た目はきつねうどんそのもの。ボタンを押し間違えたかと思いながら箸でまぜてみると、下からゆで卵とお肉が出てきました。

具がめんの下に隠れているのには、理由があります。湯切りで器が回るとき、具がばらばらにならないよう、最初からめんの下に敷いてあるのです。

めんはやわらかく、スープは少し甘めのやさしいだしです。この日は歩き回って、タンパク質がほしかった編集部。ゆで卵で筋肉回復です。そしてほんのりやさしい味のうどんが、体のこりをほぐしてくれるようです。

平日の15時なのに、お客さんが次々にやってきます。編集部と相席した親子は、1時間かけてラーメンを食べに来たそうです。麺をすすりながら初めて会った人と話が弾むなんて、これも「仲良くしてネ」看板のおかげでしょう。

最後はスープまで飲み干して、大満足。上の線路を走る錦川清流線のディーゼル音も聞こえてきて、童心に戻ったような気分になりました。

中村さんによると、人気の1位は肉うどん、2位はラーメンです。週末には、県外から食べに来る人も多いそうです。

レトロ自販機 欽明館 肉うどん
混ぜるとお肉とゆで卵がひょっこり

部品をつなぎながら、今日も動く

うどんやラーメンの自販機が国道沿いに増えたのは、1970年代のことです。24時間あたたかい食事がとれる場所として、長距離トラックの運転手などに重宝されました。その後、24時間営業のコンビニが広がり、自販機コーナーは少しずつ姿を消していきます。

欽明館も、昔のお客さんは長距離ドライバーが中心でした。今は、ほとんどが一般のお客さんです。相席した親子のように、わざわざこの一杯を目当てに来る人もいます。

今も残る機械の多くは、富士電機が1975年から1995年にかけてつくったものです。メーカーはすでに事業から撤退していて、修理は昔ながらの修理屋さんが頼りです。

欽明館の自販機を直しているのは、70代後半の修理屋さんです。ここでも、部品が手に入らずに止まったままの機械が1台あります。部品がようやく手に入ったと思ったら、別の機械の同じところが壊れ、その部品はそちらに回しました。もう1台は、今も部品を待っています

中村さんは「修理屋さんがいる限りは、なんとか動くかな」と話します。

欽明館 自販機に補充する中村さん

食べられるうちに、一杯を

湯気の立つうどんが今日も出てくるのは、1日7回の補充と、部品をつなぐ修理屋さんの腕があるからです。

このレトロな空気でこの味と出会えるのは、今のうちかもしれません。川西駅で降りたら、ぜひ一杯食べに来てください。

メニューと値段

  • 天ぷらうどん 350円
  • 肉うどん 400円
  • ラーメン 400円
  • 天ぷらそば 350円

支払いは100円玉だけです。「10円玉はなるべく入れないで」というお願いもあるので、100円玉を多めに用意していくと安心です。

岩国市 欽明館 うどん・ラーメンの自販機
岩国市 欽明館 天ぷらうどん・肉うどんの自販機

列車で行くなら

岩国駅から錦川清流線に乗り、二駅目の川西駅で降りれば、歩いて10分弱です。宇野千代生家とあわせて回るなら、お昼ごはんをここで済ませるのもおすすめです。

宇野千代生家は10:00〜16:00の開館で、火曜日が休館です。帰りの列車の時刻も、あわせて確かめておくと安心です。

あわせて寄りたい

宇野千代生家は、ここから歩いて約10分です。生家を見学したあと、次の列車までの寄り道にちょうどいい距離です。

錦川清流線の沿線には、もう1か所レトロ自販機があります。椋野駅近くの観音茶屋です。
こちらも後日ご紹介します。

錦川清流線 川西駅

欽明館の基本情報

場所山口県岩国市川西3丁目11−6
最寄り駅錦川清流線・JR岩徳線 川西駅
駅から徒歩10分弱
宇野千代生家から徒歩10分
営業時間24時間
料金天ぷらうどん350円、肉うどん400円、ラーメン400円

※2026年10月に、稼働と値段を確認しました。

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